◾️ここまでのあらすじ
人生の半分以上を共に過ごした、我が家のおんぼろベッド。増税を前に、買い替え派の夫。渋る私。さぁどうする?
……と、わずか52文字で済む話を、あーだこーだと長々書いた、第1章はこちら。
愛着と現実の狭間で葛藤していると言えば格好もつくが、実際は、ベッドの買い替えに伴う様々な面倒事に憂鬱になっているだけなのかも知れない。
ちなみに、現在使っているベッドはセミダブルである。中年太りでひと回りもふた回りも大きくなった夫婦には、さすがに窮屈になってきた。買い替えるなら
- ダブルを1台
- シングルを2台
のどちらかになるだろう。
いずれにせよベッドの専有率は増えるわけで、家具の配置替えが必要になってくる。それ以前に、寝室に追いやられた、山ほどの不用品の処分から始めなければならない。縦のものを横にする気力もない私に、そんな大仕事ができるだろうか。
また、ベッドは体積的な意味でも、金額的な意味でも、大きな買い物である。適当に選んで後悔はしたくない。マットレスは、とあるメーカーに目星を付けている。では、フレームはどうするか。すっかり忘れていたけれど、カバー類も新調しなければ。
やらなければいけない事、考えなければいけない事、決めなければいけない事がありすぎる。面倒くさい。面倒くさいことを面倒くさいと騒いでいる自分も面倒くさい。こんな時は寝るに限るが、その寝場所自体が存続の危機に晒されている。
告白しよう。私はベッドを背負って生まれてきたカメなのだ。新しい甲羅をあげるからと言われても、今の甲羅を引き剥がされる時の苦痛はいかばかりか。そもそも、カメの甲羅を剥がすことなんてできるのか。
そんな馬鹿げた想像をしながら、特に何の進捗もなく、一日が終わる。そして家具店に行く土曜日に、一日近付いている。