とんかつにっき|うつ・パニック障害18年生

とん活(お布団で過ごす時間をもっと楽しく!活動)はじめました。

汚部屋住人のベッド買い替え顛末記【第3章】清算

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◾️ここまでの記事

【第1章】パラダイス・ロスト

【第2章】カメの涙

 

◾️ここまでのあらすじ

人生の半分以上の年月を共に過ごした、我が家のおんぼろベッド。増税を前に、買い替え派の夫。渋る私。ついに家具店に行くことに……。

 


 

人間の性格なんて、そう簡単には変わらない。例えば、課題を先延ばしにする私の性格。8月の最終日が、その課題を清算する日であることも変わらない。

 

新しいベッドを見繕いに家具店に行く日。それは奇しくも8月31日であった。当日の朝、私を襲ったのは(かつて幾度となく経験した)夏休みの宿題を終えていない時の、あの切迫感だ。じたばたしている暇はない。問題を片付けるなら今日しかない。腹を決めた女は強い。

 

暑さの中にも秋の気配が漂う昼下がり。私と夫は、来店予約をした家具店の前にいた。大小様々なシャンデリアで過剰なほど装飾された入り口に、夫は気後れした様子である。しかし私は、客を値踏みするような男性店員の視線を軽やかにかわし、自分でも驚くほど堂々と受付を済ませた。ここにいるのは、長年の闘病生活で、すっかり汚部屋住人になった女ではない。少々頼りなさげな夫を伴ってはいるが、優雅に家具を選ぶマダムである。やはり、腹を決めた女は強い。

 

私たちの接客担当として現れたのは、年の頃なら三十そこそこの、物腰の柔らかい女性だった。寝具のアドバイザーであることを示すバッジが、胸に控えめに輝いている。ベッド、特にマットレスを選ぶ際は、実際に横になって寝心地を確かめることが不可欠だ。リラックスして寝心地の差に意識を集中できたのは、彼女の的確な助言と、穏やかな雰囲気のお陰だと思う。

 

こちらの希望は

  • マットレスは実家で使っていた某メーカーの、固めのもの
  • フレームはダークブラウンのシンプルなもの
  • 大きさはダブル

とかなりはっきりしていたし、事前の入念な下調べの甲斐もあって、想像よりスムーズに事は運んだ。かくして、予算的にもスペック的にも、十二分に満足できるベッドを成約した。成 約 し た 。

そう、私たちはついに、新しいベッドを買ってしまったのである。

 

古いベッドとの別れ。そして新しいベッドとの出会い。8月の最終日に、ここ数年の課題を清算した私たちは、いつもより少し高いテンションで、繁華街を後にした。次に買い替える時はきっと介護ベッドだね、と話しながら。

 

第4章に続く