寝室に蚊が入り込んだようだ。この時期まで生き長らえているだけあって、なかなかの知恵者である。人に羽音が聞こえるような場所は決して飛ばず、脚ばかりボコボコになるまで刺していく。姿を隠すのも上手い。
ただひとつ失敗したとすれば、一人の人間を狙い過ぎたということか。一匹の哀蚊に目くじらを立てるほど、神経質な私ではない。しかし今回ばかりはさすがに耐えかね、蚊取り線香のスイッチを入れてしまった。少し申し訳ないような気もするが、真の知恵者なら、細く開けたドアの隙間から逃げて行くだろう。
さようなら、たぶん今年最後の蚊。