「大人になったら何になりたい?」
恐らくほぼ全ての人が幼少期にこう尋ねられた経験があるはずです。
うちの娘は2歳くらいの時に
「ハンバーグになりたい」
と言っていました。
ハンバーグを作る人(コックさん)や運ぶ人(ウェイトレスさん)じゃなくて?と何度確認しても、
「ハンバーグになりたい」
と言っていました。
ちなみに「好きな食べ物は?」の質問にはカレーと答えていました。
彼女が立派なハンバーグになれますように。
私は将来何になりたいか聞かれた時、幼稚園児時代は「ようちえんのせんせい!」、小学生時代は「小学校の先生!」と答えていました。そう答えると大人(特に先生)が喜ぶことを知っていたからです。「何になりたい?」の質問に上手く答えなければがっかりされるし、それなら10くらいのテンプレートの中から選べばいいし。
でも不思議なもので、「何になりたい?」攻撃を受け続けているうちに本当に先生になりたいような気もしてきて、実際大学では卒業単位にもならない教職課程を履修し、選んだアルバイトも塾講師だったのでした。(それ自体はとても有意義な経験です。)
さて月日は流れ、私は結局どの職業にも就くことができませんでした。敢えて言うなら「なんちゃって専業主婦」か「名ばかり専業主婦」でしょうが、それでは世の中の専業主婦の皆様に失礼というものです。それなのに自分は「無職」だと、まだ胸を張って言うことが出来ません。それが病気のせいだとしても。
大人になったら自分も「何か」になるものだと疑いなく信じていました。
いや、ならなければならないと今でも心のどこかで思っています。
誰もが「何か」でないと許されないような今の社会は息苦しいです。
でも多数派が押し付けた「何か」だと決めつけられるのはもっと苦しいです。
私もハンバーグになりたいな。