◾️ここまでの記事
◾️ここまでのあらすじ
ベッド搬入のXデーは10月21日。今こそ汚部屋を、片付けて片付けて片付けまくらなければならないのに、ほとんど手付かずのまま迎えた最後の週末。タイミング悪く風邪までひいてしまい……?!
nemo家のベッド買い替え顛末記、怒涛の完結編。
人は二つのタイプに分類することができると思う。
- 部屋は片付いて見えるけれど、引き出しの中はゴチャゴチャなタイプ
- 部屋は散らかって見えるけれど、引き出しの中は片付いているタイプ
私は後者で、完璧主義者だ。
どんなに部屋全体が散らかっていても、片付けは引き出しの中のような細かい所から始める。よって、部屋全体が片付くまで、途方もなく時間がかかる。
そのモノが本当に必要なものか否か判断し、最適な場所に収めたい。秩序立った整理ができないくらいなら、散らかっている方がマシ。典型的な「0か100か思考」である。
元気な時はそれでも何とか回っていたが、病気による気力・体力・判断力の低下が、汚部屋の原因となったのは言うまでもない。
さて、話を現実に戻そう。
買い置きの風邪薬が思いのほか効き、前の章を書いた翌朝には、ノロノロと動けるくらいには回復していた。しかし、ただでさえ動きの鈍い私が、さらに低出力モードになってしまったのは事実だ。頼みの綱は夫だが、このテキトーな人がどうにかしてくれるとはとても思えない。
一方、夫は夫で、かなり早い段階から、私がこの難局に対処できるとは考えていなかったようである。Xデーが近付けば近付くほど、寝床が奪われる不安とプレッシャーで動けなくなる妻。おまけに風邪気味と来たら、これはもう完全に戦力外である。
夫が私を早々に見切ったことは正解だった。しかも幸いなことに、夫の完璧主義ではない性格、つまりテキトーな性格が吉と転んだ。
土曜日の朝、夫は寝室のありとあらゆるモノを、とりあえず段ボール箱に放り込み始めた。明らかな不用品はゴミ袋に入れるが、細かい分類はほとんどしない。ひとつの段ボール箱があっと言う間にいっぱいになる。最低限のインデックスを書きつけ、次の段ボールに取り掛かる。
これを繰り返すこと十数回。寝室は徐々に本来の空間を取り戻し始めた。気付けば本棚と棚が空になっている。最後に軽く掃除をしておしまい。
内容はどうであれ、結果的に、ベッド搬入の準備が二日間できてしまった。
結論:片付けに必要なのは「気力・体力・適当力」
私に決定的に欠如しているこの三つの能力全てを、夫は持ち合わせていた。
かくしてXデーがやって来た。
魂を分有していたと言っても過言ではない、古いベッドと引き離された時、私は一体どうなってしまうのだろう。身体がどんどん透明になって、ついには消えてしまうのでないか。
こんな風に
だが、そんな妄想は杞憂でしかなかった。人とは現金な生き物で、別れに胸を痛めた数時間後には、もう新しいベッドに心を奪われている。大人二人が寝ても余裕のある広さ。硬すぎず柔らかすぎず、絶妙な弾力で全身を支えるマットレス。フレームもシンプルなものにして正解だった。
これに魂を移す儀式の一環として、今はベッドで過ごす時間をいつも以上に増やすことが必要だ。積み上げられた段ボールを片付けたい気持ちはもちろんあるが、これは私にしかできない重要な仕事なので仕方がない。
今日も私は、とん活(お布団で過ごす時間をもっと楽しく!活動)で大忙しなのである。
今までありがとう。
末永くよろしくね。
他人のベッドの買い替えという極めてどうでもいい話題に、全5回に渡ってお付き合い頂き、本当にありがとうございました。お陰様でどうにか乗り切ることができました。より快適になったベッドから、張り切って駄文を垂れ流して行くつもりですので、今後ともどうぞ宜しくお願い致します。