◾️ここまでの記事
「えーと、確か前回、新しいベッドを買ったんだよね?だったらもう、何も書くこと無くない?」
そう思ったそこの貴方、人として真っ当な道を歩んで来られたのでしょう。でもそれじゃあただの『ベッド購入顛末記』ですよね?
私が書こうとしているのは
ベッド購入顛末記なのです。
そう、クライマックスという名の地獄はここから始まる……!
ベッド搬入のXデーは10月21日に決まった。8月31日の成約から搬入まで、あえてひと月半以上の間を空けたのは、「本腰を入れて寝室を片付けなければヤバい」という我々夫婦の危機感の表れである。
しかし、10月18日現在、寝室の片付けはほとんど進んでいない。何もかもが正反対の夫婦だが、情けないことに、面倒なことを先延ばしにしてしまう性質だけは同じなのだ。
新しいベッドは一回りサイズが大きくなるため、家具の大幅な配置換えが必要になる。大きな本棚を移動し、棚をひとつ処分しなければならない。それ以前にしなければならないのは、寝室に追いやられたどうでもいいものやどうでも良くないもの(たっぷり18年ぶん!)の整理である。縦のものを横にする気力もない人間にとって、これがどれほどの大事業かお分かり頂けるであろうか。
そして、あまり認めたくないことに、数時間前から嫌な予感がする。喉が痛いし、何だかやけに寒い。厚着をしても、羽毛布団にくるまってみても、身体の芯から寒い寒い寒い寒い……。
たぶん、風邪をひいてしまった。
今週末が最後のチャンスなのに。
夫は飲み会でまだ帰らない。いま私は、20年のあいだ苦楽を共にしてきたベッドの上で震えながら、これが最後の絶望であってくれと祈っている。